3.祭りの普及・啓発について 06.7

 いま、どこの地域でも昔から続いている祭りの存続が
難しくなってきている。祭りを文化財として捉えまもってい
くにはどうしたらいいのか、熱い議論が続いている。私は、
祭りうんぬんの前に文化育成を日常生活のなかで文化
に親しむべしと考え、ここに主張する。

  文化の重要性は十分理解されているものの、日頃より
営みの中で文化を認識することは極めてまれである。(文
化は空気のようなものといったところか。) にもかかわら
ず、生活にゆとりやら潤いやら心の豊さを求めていく際に、
どうしても文化というものにすがりがちでもある。それゆえ、
文化には即物的な要素が強くなり、かつ商業主義という
現代風にアレンジさせられぎみとなってしまいがちである。
特に祭りとなると、その傾向が顕著に現れ、祭りの担い手
の気質が変わり、祭りの内容も本質は失われて形のみが
残るといった懸念すらある。ではこうしたことをどう考えれ
ばいいのであろうか。

  もともと、祭りが地域コミユニテイに立脚したものである
ので、祭りの衰退そのものは、コミユニテイの衰退あるい
は文化の先細りそのものといえる。そうした祭りを継続
(存続)させるには、以下に示すように、根源的なものと
表層的なものとの二面に分けられる。

   第一に祭りの今日的な変質をともなっても残すもの。
   第二に地域の問題として根源的に解決していくもの。

  どちらが良くてどちらが良くないというつもりは無く、地域の
状況諸事情に併せて、やれるところからやるといった方策が
とられることでいいと考える。文化を如何に継承発展させてい
くのかが問われれば、それだけのボリュームを持つ価値観論
争をやればいいし、また、祭りを形だけでも残すことを選択す
るとならば、それは文化の今日的環境の中での変質という捉え
方で十分でもある。となると、何でも有りということになってしまう
と思われるかもしれないが、そうではなく、どんな選択でも文化
育成につながるからいいといいたいのである。(そうした観点
での論及があまりにも不十分だから、まずそこから始めたい
という気持ちである。)

  私は、問題設定を祭りの存続そのものの次元ではなく、(ど
んな様相になるにせよ)「文化育成の基礎は如何に」といった
次元にしておけば十分と考える。このように考えれば、初等・中
等教育に文化教育を倫理や道徳教育とともにリンクさせて、家
庭で大人が子供に文化を大切にする日々の行動を地味に重
ねていけば、いつしか文化の育成につながっていくことであろう。
たとえ歴史性がなくても、たとえ文化性がなくても、何の変哲も
ない例えば食事であっても、身近なものに文化の香りを感じて
生活を営み、そんな行為の連続が文化を形づくっていくことであろう。

  そしてもうひとつ、多くの方を結集して文化談義に花を咲かせ
るだけでもいいと考える。文化施設や文化教室といったものばか
りではなく、地域の井戸端にそうした雰囲気の花を皆さんで知恵
を出しながら咲かせたいものであり、津々浦々からの雰囲気造り
を一人一人が心がけていきたいものである。

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