2.雪の文化と誇りについて 06.7   

 冬場の生活環境の維持として、雪をどう克服していくのかが
論議されている。そこでは、効果的な除雪をどう計画するかと
いったことが主となっている。こうした議論を聞けば聞くほど、
今ひとつの視点として雪を無機物として扱うのではなく、有機
的なものとして、文化的な面から総合的に検討することを訴え
たくなった。

  「富山の特徴は何ですか」とよく人から聞かれるが、そのと
き決まって「山、森、水、雪、米」と答える。このうち雪について
は、都会人にとってはレジャー にかかせないものという捉え方
であろうが、我ら富山県民にとっては「雪はうっとうしい」ものの
他府県の人には「誇らしく」いうことが多いのは、私だけではな
いはずである。

 とはいっても、いざ多雪になると、除雪やら屋根雪降ろし他で
困ることが多く、特に最近、農村部の高齢化がすすむにつれ、
災害弱者として根本的な社会問題を呈した由々しき問題もあ
る。これについては、除雪対策の検討という枠を超えて高齢者
問題を如何に解決するかということが問題の核心となる。関係
の方々を含めて広く議論して財政的な政策が必要かと考える。
(災害弱者への援助ボランテイアもなかなか機能しにくい状況
にある。)

  また、そうした問題とは別に市域における我らの生活環境に
は、除雪はあって当たり前の感があり、こうした感覚が汗水たら
しての作業を敬遠しがちの傾向を形作っているように思える。
このためか、親雪の意識がなかなか育たない。

  私は、我らの生活や生活文化には雪がもたらしたものは大き
く、これが富山の県民性となって結晶化していると思っているの
で、この点を踏まえて雪について自然の情景の他に精神構造の
形成として、例えば粘り強さは雪が与えてくれた試練の結果とも
いいたいし、またもっと積極的に雪にかかわって生活していきた
いものである。

  それにもうひとつ、たたみかけたい。今の世の中、雪の文化
や糸瓜(へちま)もなく、機械力に頼って何でも片付けてしまおう
という風潮が強くなってきた。 こうした状況であればあるほど、雪
をもっと身近なもので親しみ、苦労を分かち合い、誇りを持つとと
もに助け合いの精神を育むことこそ、機械力中心の方策と 対極
する方策のように思えてくる。と同時に、克雪や親雪の発展とし
て、建築や街づくりの観点からの検討も急務であり、雪を見なが
ら生活を楽しむとか、雪景 色を十分堪能するとか、そんな楽しみ
方の良さをもっと身に付けていけるよう日常生活の面でゆとりを
持ちたいものである。 結びとして、普段のゆとりこそが、雪に対し
て文化育成と誇りの醸成につながっていくものと主張したい。

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