農業振興についての意見
                                 

 富山県は農業振興についてプラン改定とか。
これについて意見を持っているので述べたい。2011.9.


 農業をとりまく状況は、近年のグローバル化に伴って一段と厳しさを増してい
る。「農業を犠牲にして工業を優先する」とか、「農作物は安い外国産を食せば
いい」とか、「農業も近代的センスを身につけ商業として再生を」など、農業の
根幹が日に日に揺るがされてきている。あたかも、農業は時代遅れといわんばか
りの風潮が作られ定着しつつあるのも現実である。

一方、そうした動きに対して、「治山治水として林業・農業を育てよう」とか、
「風景や文化は農業にあり」などの声が急速に大きくなっている。これは、安易
な経済至上主義で人間生活の空間が損なわれてはいけない、とする論調のもので
ある。最近では、国民全員に啓発する意味で、「都会と田舎の連携」が叫ばれる
ようになった。これは、都会の方にもっと農業を知っていただくためにとにかく
田舎に着て農業体験をしようというものであり、グリーンツーリズムもそのひと
つである。

私は、「農業の抜本的活性化は市民が身をもって理解を深めるところにあり」と
考え、「都会と田舎の連携を地道に実らそう」と思っている。それだけに、そう
した連携をもっと促進する意味で、田舎から都会へのアプローチを提唱したい。
確かに都会の方が田舎に来て種々体験して気も心も自然体になって帰っていくの
はいいが、それで終わるということは如何にももったいない。そこに何らかなる
ケアーがあればと思う。またもうひとつ。田舎から都会に出かけ、田舎のいいも
のを都会に植えつけることである。都会にビオトープを持ち込むのもあり、小さ
な菜園を持ちこむのもありだが、もっと何かを持ち込みたいものである。

私は、加えて田舎人の気質に着目したい。とにかく、閉塞感漂うこのご時勢では、
生命が軽んじられ、自然の恵みが軽んじられているように思えてならない。この
ようなところから、人間の絆もなかなか育まれようがないではないか。最近、ま
ちづくりとしてコミュニティを大事にするようにはなって来てはいるが、肝心の
家庭のコミュニティが育っているとはなかなか思えない。家庭には食生活が日常
習慣化されて健全なものになっているのか、大いに疑わしいだけに、そうしたと
ころに田舎人の気質が伝播し、ひいては農業の根幹が大いに理解され実践される
ものと思っている。

目の前で植物が育ち、恵みを授かることこそ、人間の営みの根源である。こうし
たところから、文化が生まれ、風景もまた文化の素養を兼ね備えていくのである。
そして、地域全体が人づくりの場と醸成していく。

このような視点で農業を大いに議論し、農業を農業従事者で無い我らが積極的に
見守っていくことこそ急務と考える。これを皮切りに、農業のかかえる諸問題に
対して解決策を見出したいものである。


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