学園便り 2004.7 *************************

「皆さんなら技術の時代をこの先どう変えますか?」   富樫豊

  皆さん、これから夏休みですね。クーラー の効いている部屋で勉強したり語り合っ
たり、アルバイトに精を出したり、携帯電話にITの利用など、若者らしい生 活をエンジ
ョイされることでしょう。でも皆さん、過去の若者と比べると汗を垂らしながら何かに打
ち込むといったことも少なくなってきています(そうでない 人も沢山いますが)。これが現
代の生活の様相といっても過言ではありません。ですから、次の時代の担い手である
皆さんが次の時代が「どうあればいいの か」、「どうしようか」など、この時期にじっく
りと考えてみませんか。皆さんが大海原の向こうをしっかりと見据えて各自羅針盤を
もって船出していただきた いからです。

  ところで大人達は青春時代どうだったのでしょうか。(一般論 で展開しますが)若者
の時代にはがむしゃらに勉強し、社会人になってはがむしゃらに働いたものです。少
しでも便利に、少しでも快適にをモットーにして、各 分野で先人たちの業績を受け継
ぎ発展させました。生活の様相としては、例えば30年前なら、当時手書きがワープロ
に、個人商店がコンビニに取って代わら れ、また文化としては長髪にミニスカートに
、ロックに、などなど若者がそうした文化を定着させました。そして近年は高度な技術
社会を作り、今皆さんがその 中にいる訳です。

 皆さんは、今ある時代のみ知っているわけです。ただ我ら大人は皆さんと違って今
の時代とそうでない時 代を両方経験しているのです。ですから今の大人は、こうした
時代を大変憂いております。多少難しく言えば、近代技術は映像技術とともに仮想現
実空間が現実 空間を大きく狭めてきております。これに伴って、仮想空間と現実空間
との区別が付きにくく、また生活環境において家庭の崩壊や人間関係の崩壊などが
一段と 危具されるようになってきています。

 では世の中がこのように変わろうとしているとき、我らどうするのか。二通りの考えが
あります。一つ は、今の状況を無批判 に発展させるべきではない。今一度考え直せ
というものです。今一つは、今の状況に合わせて生活環境文化を変えていけばよい。
専門家の 間では、前者の意見保持者は後者の二倍であります(数字は建築家のなか
でのもの、他の分野はもっと小さくなるは ず)。私がびっくりしたのは、両方の考えの
存在であり、各専門家がそれぞれを強く支持しているということです。 

 でも皆さん、こうした議論をしている のは大人たちです。皆さんは入っておりません。
次の時代は皆さん の時代。大人が将来を計画していますが皆さんがそれに満足する
はずがなく、新に新しいビジョンで作ってほしいです。ただ、われらのときと違って、今
は極度 に発達した技術社会です。この事情を踏まえて次をどう設定するのか、先ほど
あったように、今の時代だからこそメンタルにも新しい倫理観、価値観を作りさら に技
術を推し進めるのか、技術の根源や発展方向を検討していくのか、皆さんは避けてと
おれないはずです。考えましょう。時には理屈っぽく。


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