学園便り 2003.10 ************************

専門家を目指す皆さん、プロのプロたる由縁とは!!   富樫豊


  皆さん、デザインや建築やコンピュータの職業につき専門家として社会に参画す
るために、日夜勉学に励んでおられることと思います。

  ここでちょっと「専門家 プロ)と
は一体何なの」と問いかけてみたくなりました。そんなこといわれなくても「プロはプロ」
というようにプロという言葉をいとも簡単に我ら使ってい ます。「何でいまさら」という逆
の問いかけもあるかとは思います。例えば最近の医療事故ひとつとっても、一般市民
に対しての専門家のあり方が今だからこそ 問われております。プ ロとか専門家という
呼び名は、特別の専門知識や技能をもっている人の総称であり、皆さんも巣立てば
プロですし、プロ野球の選手もプロですし、とにもかくに もプロはプロということになりま
す。ところが、プロにはもうひとつ大事な条件が必要となります。それは、市民から尊
敬されることです。

   もともとプロという 言葉はルネッサンス期ヨーロッパで生まれた言葉
であり、正式にはプロフェッションといい、日本語では専門家とか職能とかいいます。
当時の世界では社会がそ んなに高度化していなかったことにもよりますが、当時の
プロは四種類あり、四大職能といわれておりました。その職業とは、第一に聖職者、
第二に医者、第三 に弁護士、第四に芸術家です。いわれてみれば確かに、これらの
職業が、人間の自然的にも社会的にも生命を救うことや、人間の精神的救済や育成
に大きくかか わりあう職業だけに、市民から尊敬の念がなければ成り立ちません。

 で は、現代はどうでしょうか。中世以降、社会が進化し高度化し肥大化し、分業と
専門分化、専門進化が加速度的に進み、沢山の専門があって初めて成り立つこの 世
の中といって良いでしょう。第四番目の職能がエンジニアとアートに分かれ、そのエン
ジニアから沢山の分野が分かれていきました。皆さんは、その意味では ダビンチやミ
ケランジェロの21世紀の弟子ともいえます。ただし、専門家は市民あっての専門家で
す。その点がしばしば忘れられがちです。

 皆 さん、胸をはって「さすが専門家」といわれるように頑張りましょう。



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