■■■ 本グループの沿革、目的、活動方針、設立趣旨、QアンドA

◆ 沿革

 06年頃 知の結いとして設立(90年頃から活動)
 08年頃 地の結いを設立(地域を念頭に置く)
 11年度 NPO地域における知識の結い設立(12年03月21日認証) 

◆ 主旨
本会は、社会教育・まちづくり・人づくり・子どもの健全育成について、
学術・芸術・文化の面から調査・研究事業を行い、その成果を社会に還元し、
市民生活の知識向上に寄与することを目的とする。

◆(活動の種類)
(1) 社会教育の推進を図る活動
(2) まちづくりの推進を図る活動
(3) 学術・文化・芸術又はスポーツの振興を図る活動
(4) 子どもの健全育成を図る活動
(5) 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

◆(事業の種類)
(1) 調査・研究および社会への還元事業
(3) 研修・コミユニケーション・交流を通しての人材育成および啓発活動の事業
(3) 関係機関・団体・個人との連絡および助言等の事業
(4) その他、この団体の目的を達成するために必要な事業

◆ 事業実施の方針
本法人の目的である市民生活の知的向上を遂行するために、市民の生活環境と
いう視点で調査・研究事業を行う。それによる成果を社会へ還元するために、
専門家との研修・コミユニケーション・交流で知識の普及・啓発および提言事
業を実施する。


◆ 設立趣旨
私たちは、専門家の役割として市民への知的サービスの在り方を検討し、10年前
から二段階で準備を進め実践してきている。第一段階では、専門家側の問題とし
て専門分化の各体系を総合的に連携させかつ市民視点を具備すること狙いとして、
任意の学術グループ(教育・建築・土木の各分野)を結成し実践を重ねてきた(専
門各体系の結い)。 第二段階では、そうした知的集団と市民とにおいて知的交流
を介して知的サービスを図ることにし、中継(仲介)役として専門家と市民から有
志を募り、実践をしてきた(市民と専門家の結い)。例えば、中越地震や最近の東
日本地震の時には被災地に出向き、市民のリクエストに応じて建物の診断や子ども
遊びの支援を行ってきた。また富山において、伝統的風景の保全や都市景観につい
て関係の方々に助言や支援もしてきた。
一方、市民を対象とした種々活動という地域貢献は今に始まったことではなく、以
前からその必要性を認識していた学協会・大学はいうに及ばず民間企業までもが参
入している。しかしながら、そうした地域貢献には、組織の立場が色濃く反映され、
しかも専門分化・分業のシステムの枠内中にとどまることが多く、特に学協会・大
学での活動には自ら抱える高度な専門性のために、学究的側面がついて回っている。
このため、サービスが専門分化した難解なものとなり、サービスを受ける市民は自ら
受け身的になってしまうことが多い。
では、これまでの私たちの活動形態がいいかといえば、限界もある。知的グループも
中継の有志も個人の寄せ集めであるために、各種団体との連携も取りにくく、また種
々のサービスに対して市民の幅広い支持・社会的評価がなかなか得られにくいのが現
状である。
そこで、これまでのものの発展として、「専門家の幅広い分野にわたる結集」、「市
民視点の具備」、「(市民側の代弁者も兼ねた)中継集団の結集」、「専門家と市民
との(対等な)コミユニケーションを介した実践」を柱に、改めてそれに賛同する市
民・専門家とともに「結い」というネットワーク的な集団をつくりあげ、その活動を
広く市民に支えられながら継続的に運営し、社会的信用や評価を得ることを考えた。
すなわち、市民の世界に草の根的に立脚しかつ多様な方々で構成される集団で活動す
ることが、今一番望まれている地域貢献・社会貢献と判断して、ここにNPOとして団体
を設立することにした。これによって、従来、知識や支援などが専門家から市民への
一方通行であったものが双方向で市民の納得を得るものとなる。これをもって、両者
が知識を共有して結びつけることが幅広く継続的に可能となる。
私たちはこうした体制のもとで、市民の生活環境の知的改善としてこの種の知的レベ
ルの向上を目指すものであり、生活環境の視点で社会教育・まちづくり・人づくり・子
どもの健全育成を学術・芸術・文化のアプローチで市民のニーズに応えることとした。


◆ Q&A 皆様の疑問に答えます。

1.大学が行っている地域連携・地域貢献との違いは?
 大学が地域のニーズに応えるとして地域の産業界や市民団体に対して知的サービスや
連携を行っている。これはあくまでも大学の使命である教育・研究の一環であり、研究
教育の社会的還元の一形態でもある。このため、彼らの貢献や彼らとの連携では、どち
らかというと研究室単位で行動することが多く(連合を組むこともあるが)、専門的な
水準を維持させながらのものとなることが多い。(そうでないと大学のかかわりの意味
がなくなる)
 しかしながら、地域連携とは地域における市民と専門家との大きな枠での連携であり、
その意味で専門家が大学中心の方々だけではなく、実務者や知的好奇心の方々をも抱き
込んだ形態が望ましいと考える。しかも、連携や貢献には市民と専門家との双方向の協働
(知的交流)が不可欠であり、これをもって市民がフランクに「もの・こと」を市民のレ
ベルで蓄積させることができると考える。
 こうした視点を持つ集団が、まさに我が集団、知的集団である。

2.実務家集団の行っている地域貢献との違いは?
 地域貢献について、実務の方の参入には二種類の形態がある。ひとつは、実務の企業が
そのままで入り込んで地域貢献という事業を展開するものであり、いわば業務の一環とい
うべきものである。いまひとつは、実務者個人でボランテイア活動とするものである。こ
れについては、市民側もボランテイアの後の(利益誘導を期待する)ことを警戒すること
もある。
 我らは、実務者不要というわけではない。先に述べたように大学人だけではだめであ
り、実務者だけでもだめであり、両者がともに協働することが、市民のニーズに応える
地域貢献と考えている。

3.実務者の参入は可能か? 上記項目の補足として述べる。
 実務者ならではのノウハウをもっと生かしたいとして、(学会や)行政の種々委員会
に委員として参画したいといっても、「業務につなげるからダメ」と門前払いされるの
が常である。しかし、当の行政の方でも、学者ではなくて実務者の意見を徴収したいと
いってもかなわないことが多々あることも事実である。そのようなことで無念を感じた
心ある実務者が多いはずである。
 学者の次元と業務の次元の間に、両者の知恵を結集することが多いのにもかかわらず、
である。なぜそうなるのか。業務につなげ、癒着を図る業者がいるからである。いま、
談合防止とか、利権をあさる体質が改善されてきているなら、もうそろそろ、実務と研
究のタイアップとした連携があってもいいと考える。それには、はじめから学会と同じ
ような性格で、知的集団がつくられていれば事はかなうと考える。もちろん、この集団
が実務を行うわけではなく、知的な役割を担うのである。

4.地域貢献の目的は?
 地域連携として今求められているのは、授ける側の一方的な授けやおしつけではなく、地域
市民の資質の向上もふくめ、地域の問題解決に貢献する双方向のものであることはいうまでも
ない。これは、「知識を介して専門家と市民の結びつけ」というべきものであり、地域をベース
にして大きな枠(市民・実務者・研究者・教育者・他)でのコミユニケーションを図ることおよ
びコミユニケーションを楽しむことそのものでもある。具体的には、種々の多様なスタンスから
のコンサルテイングがあり、レクチュアーがあり、語り合いがある。
 具体的イメージの例を記そう。ニュートンの時代のイギリスにおいてサイエンスカフェがあっ
た。そこに有識者が集まって議論を戦わしたという。我が集団は、地域連携としてそうしたスペ
ースを市民と共につくり、市民と共に楽しむものである。

5.集団の特徴は?
 地域連携については、(集団の)専門家の持つ英知を市民と結ぶことが最大の目的である。そ
こには、市民の多種多様なニーズに応えられるように、我が集団はすべての分野を網羅するので
はなくすべての分野の気質を網羅し、なおかつ高いレベルの博識・見識・良識でもって対応する。
市民が社会に期待していることを知的サービスの分野に限って、知的楽しみとともに提供するこ
とができる。
 我が集団内部も、多様な気質の方々をゆるやかに連合することにより、関連する専門家がフラ
ンクに気楽に結びついてことに当たることができる。大学を先行させた地域連携のシステムでは
まねのできない幅広いコミユニテイともいえる。

6.事業規模が小さいが?
 事業規模が小さいのはなぜか、と聞かれることが多々ある。確かに、建築やまちづく
りでも数千万円を動かしているNPOもあるので、これに対比させてそう思われるものと思
っている。しかしながら、本NPOは、知識を無償提供するところに意味があり、価値にす
ると数百万円のものである。ではなぜ、無償とするのか。それは、市民に対して知識の
価値を十分に認識していただくためには、知識の拡張を促す段階が必要であり、ここに
は無償のサービスしかないと判断しているからである。

7.知的交流とは?
 私たちは市民に対して始のうちは知的サービスを行うことにしていた。これは市民に対して教え
てあげるといったおしつけそのものであり、市民の意欲を醸成するものではない、と考えた。そこ
で、知的交流(協働)を打ち出したのである。
 そもそも交流には、お互いを知り合うこと、共に何かを生み出すように交わることがある。交流
というと、お互い仲良くなって、コミユニケーションして、ということで係ることが多い。 
   では後者の交流とは何か。これは最近はやりのワークショップのことあり、市民参加型の知的サ
ービスともいえる。
 私たちのいう知的交流は、それとも違い、もともとから一緒にものをつくりあげていくものであ
り、連携の体系や対象に市民参加をくっつけたものとは大いに違う。